午後1時半くらいに会場を後にして、国道40号をひた走る。速いペースで走ってくれるクルマが現れたら、すかさずそのクルマについていき、距離と速度を稼ぐ。道路の状態は悪くない。予報で言っていたほど天気も悪くない、というか、良い。
普段生活しているところでは見られない風景を堪能しながら、いい速度で飛ばす飛ばす。
途中、腹具合をいなすため、道の駅に立ち寄り休憩したりしながらも、いい気持ちで走る。
午後4時前に音威子府で、美味いと評判の駅そばを食べ、さらに走る。
疲れはそうない。腰も痛みを感じない。すこぶる快調に走ることができる。
そろそろ燃料の残量も危うくなってきたため、旭川で給油。旭川はガソリンの値段が安いなぁ。さて、ここから日本海側に抜けるルートを選んだ方が絶対に早い、という稚内で貰ったアドバイスを実践しようとするも、曲がり角をちょっと間違え、深川まで南下。しかしそこから風雪が強まり、海沿いを走るのが不安になってきたため、内陸の国道275号を走るべく、曲がる。
走行しているうちに風雪は激しさを増し、前の車が巻き上げる雪煙を嫌って追い抜いても、状況はさほど改善しない。それでも何とか目的の275号に乗ると、これがひどかった。
対面通行のそう広くもない道が降りしきる雪のせいでさらに狭くなり、中央分離帯なんかもできていたりする。それでもそんな道を走るとやがて、ハザードを点滅させながら徐行している前走車に追いついた。このままついていこう、と思って走ると、前走車は曲がって姿を消し、変わって私が先頭車となってしまった。
ゆっくりゆっくり走っていると、前を走っていたであろう車列丸ごと対向車線にはみ出し、あわや正面衝突、なんていう光景や、左にあった側道に車列ごと避難なんてのも。
このまま走っていても、うなりを上げて吹く風とそれに乗った雪片が渦を巻いて視界を遮り、どこまでが道なのかがわからなくなってしまう。遭難は時間の問題かも、と考え、王道の国道12号まで戻ったのだ。
これでいいのだ、判断は正しかった、と思って走るとすぐに渋滞の最後尾に到着。まぁ、いつかは流れるだろうと思ってそのままその位置に留まると、これが全然流れない。
30分待ってちょっと動いた、かと思いきゃ、1時間近くそのまま動かず。そんなことの繰り返し。旭川で給油してまだ70キロちょいしか走っていないのに、燃料計の針は半分近くまで落ちていく。
特に興味もないラジオ番組の合間に、何度時報を聞いたことだろうか。
前にも後にも全然動かないクルマ クルマ クルマ。逃げ場はない。何とかその場を離れたとしても、札幌まで繋がる道はあの恐怖の275号しか思い浮ばないし、その道は今日はもう走りたくないのだ。
唸りを上げて吹く風と、それに乗って視界を遮る雪は冬の悪意や殺意と同じだ。
長く待って少し動いて、そんなことの繰り返しの合間に、ワイパーと窓の下端に溜まった氷塊を取り除くためにクルマを降り、ついでにストレッチをして、時には端も外聞も関係なく道端や中央分離帯に積もった雪へ小用を足し、クルマに戻ると眠気を払うために大声を出したり・・・。
と思いきゃ、前後のクルマの人と軽く話したり、流れている対向車線のクルマが信号待ちで止まったところを話し掛けたりして、このどうしようもない無力感を振り払おうと努力した。
途中のコンビニに避難しようかと思ったが、そこの駐車場は同じ考えを持つ人たちで既に一杯。やっぱり逃げ場はないのだ。
中には、道の真ん中で乗り捨てられて雪で真っ白になったクルマや、除雪車によってひっかれたかのような無残な傷跡を残すクルマも。まさに死屍累々・・・。
そんなこんなで5時間超。
ようやく微速ながら流れ出し、その流れはやがて日常的な速度まで上がった。
渋滞脱出。泣けてきた。走るうちに道路の雪がないところも出てきて、ホントに吹雪の影響で渋滞していたのかも疑わしくなるくらいである。
アジトへ帰着、5時30分。
旭川で給油した時には、日が変わる前に帰り着き、ブログにネタを投下しようとさえ思っていたのに。
走らない車列の中でただ何もせずに待つことは非常に辛いと言う事を、初めて身をもって知ることができた。そして、車列の中にいるうちは寝ることもできないんだ。
正直、もうこういう事はまっぴらだな。
なお、時間が経つうちにいろんな情報を知ることができたのだが、中には、完全通行止めになってどこかの宿に避難した、なんて話もあった。
それより何より心掛かりなのは、クルマイベントなどでかまって貰っている雑誌編集者、よっしー氏が無事に帰着されたか、ってこと。
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