知らなかったらシアワセ? その弐
こちらからの続き
マシンチェックのためにボンネットを開けてエンジンを見、ジャッキアップして下回りを確認し、ボディを軽く飾りつけをしていると、そんなマシンの至るところから茶色い物体が落ち、割り当てられたピットの地面を染める。
フェンダーをつつけば形が変わり、その分だけ ぽろぽろ 落ちて穴も開く。ボンネットの端をつつけば貫通し、穴が開く。軽量化だ、と言って笑えたが、下回りのメインフレームやサスペンションなどもサビに侵されぐさぐさ状態であったのには、少々引いた。
ほぼ一年間、風雪に晒されっぱなしで、かつその場所が海からそう遠くないところだと、こうも腐ってしまうのか・・・。
ただ、そんなマシンでも5時間ならどうにか持つだろう、と楽観的に考えていたのだ。
スタート時間が迫る。
可能な限りガソリンを詰め、ピットからチーム員全員(今回は4人だけど)でグリッドまで押して移動させる。
運転席には私が座り、助手席にはMさん。スタートダッシュだけみんなしてキチガXみたいにすっ飛ばしていって第一コーナーでコースアウトするマシンがいるから、そいつらを見て指差して笑ってやって、とはカントクからのありがたーいお言葉。少しは気も楽にはなった。
スタート前。まだ誰もエンジンをかけていない。ちょっと重く感じるくらいの静寂。これから5時間一杯、ここには爆音(とも限らない)が響き渡るのがちょっと信じられないくらいの静けさ。ただ緊張感だけが高まり、のどが渇く。この位置に着く前に飲み物を飲んだはずなのに。
エンジン始動。赤信号点灯から青へ。
ギアをローに入れ、クラッチを繋・・・・・・、進まねぇ。ならば、セカンドに入れ、少し吹かしてドンと繋ぐ。そんな瞬間にも、後方グリッドの排気量の大きなクラスのクルマが、右に左に後ろにとひしめき合っている。前にいるのは同じクラスのスーパーチャージャーつきのレックス。それについていこうと思うが、ずんずん引き離される・・・。
そんな状態で第一コーナー。予想したような混乱もなく、各車一気にいなくなった。後ろにいるのは、同じクラスで同じような条件のクルマ、VIVIO バン。それは押さえようとちょっと頑張るけど、少しの後にあっさりかわされ最下位に。
しかしそれで後方が完全にクリアとなり、しばらくは好きなようにコースを走ることができる。大きく回ってなるべく速度を殺さないように、無駄なアクションをせず、スムーズにマシンを動かそう、と考え、色々試す。1分50秒くらいでタイムを刻めるようになる。
サインを見たよー、と手を上げることの他、ピットウォールに寄って行ったり、パッシングをしたりしてリアクションも複数パターン取れるようになる。
前を走っていたシルビアがスピンアウトしていくのを2度、見る。
ちょっとピットからのサインでちょっと良いタイム、1分46秒が表示されると、そのタイムと続けようと欲張り、ちょっととっ散らかったりもした。
コーナー脱出時に少しはらみ、片輪をダートに落とすのも数回。軽くコースアウトして少し土砂をまき散らかしたのも1回。
自分自身にも大きなトラブルもなく、他の参加者の激しいクラッシュなどで黄旗が出るようなこともなく、とにかくオンボロミニカというバトンを助手席に座るMさんに渡す事ができたことは幸いである。
・・・つづく
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