シェイクダウン
私と鉄砲玉として雇うチームとともに、低燃費5時間耐久サバイバルレース(別称エコ耐)に参戦してきた。チームも私も昨年10月30日以来の参加となる。
そして、この度の参戦にあたり、カントクは素性の良く知れないクルマを仕入れ、内装剥がしなどの軽量化を施したのは、先月末に書いた通りである。
そんな作業を経て、さらに複数の追加飾りつけなども施されたエコ耐用マシンで、5時間の長丁場を走り抜こうというのだ。
今回の面子は、カントク、エースドライバーのIさん、危険な傭兵Sさん、次期エースドライバー候補と目される新人のCさん、そして、事前の話し合いでスターティングドライバーを務める事になった私だ。
そんな彼らと会場入りし、あてがわれたピットへマシンを入れて最終調整と化粧直し、ゼッケンとトラポンの貼り付けを行う。と同時に、ピット裏のパドックにテントを設営し、5時間の長丁場を楽しむための焼肉の準備も滞りなく行われた。
ドライバーズミーティングでコースマーシャルが振る旗の説明を受けたあと、練習走行時間となった。
だがしかし、チームのマシン、バブル末期にプチ高級車として生産されたクルマ「プレセア」は悪戯に天井が低かった。シートポジションを合わせると、ヘルメットを被った頭が天井に干渉してしまい、なかなか運転に集中できないのだ。このままの状態で下手に跳ねようものなら、首に変なダメージが残るだろう。
練習走行で3周走り、次のヒトへバトンタッチ。
コース自体は以前に走った時のまま、変わらない。そして、我がチームのマシンは、サスペンションはヌケヌケで、ボディとエンジンは鈍重で、なかなか手懐けるのは難しそうだった。
30分の練習走行時間が終わってピットに戻ってきたマシンへ、ギリギリまで給油する。ジャッキをかけてクルマを傾けながら給油口ギリギリまでガソリンを詰め、詰め終わったらキャップを閉め、ボディを揺すって燃料タンク内のエアを抜き、そしてまたギリギリまで給油、ボディ揺すりを数度繰り返したら給油完了。
ピットロードを人力で押して、コースのグリッドにマシンを並べる。そのときのスターティングドライバーたる私は、シートに腰掛けてハンドルを握り、押されて指示されるがままハンドルを切り、グリッドまで。
グリッドに付いたらスタートまでの間の緊張感の高まりで、胃がきりきりと痛み出した。
頭が干渉する天井は、何とかシートのポジションに妥協点を見つけ出した。
グリッドは後ろに数台を従えるだけの後方。スタートしたら後ろのクルマを先に行かせろ、とのカントク指示で、幾分気が楽になるも、スタート時間までのエンジンも回っていない静寂の時はやはり重く辛い。
さっきテンションを上げるために飲んだ栄養ドリンクも、ウィダーインゼリーもどこへやら。今は喉がからからだ。
そしてエンジン始動、スタート。
後続に道を譲ろうと思う間もなく、すぐに最後尾に落ちる。よーし、これで自由に走れるぞ、と思ったのも束の間、速いクルマは結構なペースで走り、すぐのミラーに姿を現した。
そして、そんなクルマは次から次へとやってきては、前に飛んで消えていく。
前を見ているよりも後ろを意識することの方が多くて、やたら気疲れする。
後続に道を譲るためにラインを外して減速のためにブレーキをチョン。その瞬間に挙動を乱し、ミラーの中に写るクルマのタイヤから白煙が上がった、なんてこともあったり。かと思えば、比較的参加台数が多かったため、そんな高速の後続車集団にラインを開けるため、大幅な減速なんかも。
去年の朽ちたミニカで参戦した時は、これほど譲るのに苦労した記憶はない。
これは、参加台数が多いのと、このマシンが軽自動車ではない普通車だということで、相手方にも遠慮がないせいか。ホントにとにかく、自由に走ることがあまりできなくて、フラストレーションもたまった。
そんな中、少ないながらも数周連続で好きなように走れる機会があったので、出来る範囲で走ってみた。個人的には気持ちよく走れた周回は、後で確認したタイムチャートでも自己ベストを記録していた。が、そうじゃない時は、タイムの並びがバラバラ。その記録を見ただけでフラストレーションが思い出された。
やがて、自分の走行パートの1時間が終わった。
即席の「IN」のサインボードがこれほど嬉しく思ったことはなかったかも。
次の周回でピットイン。クルマから降りると体がふらつき、視界も少々ブラックアウト気味になった。なんか知らんがとにかく疲れた走行パートであった。でもって、燃料計の針はほとんど動いていなかった。
そして、次の走者、新人のCさんとお目付け役のカントクが出ていった。
続く・・・。
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