手は打った
そう、手は打ったんだ。困ったときの神頼みならぬ、東洋医学頼みをしたんだ。
徒歩圏内、我がアジトから極めて近い所にある鍼灸院を覗いて事情を話し、鍼を打ってもらった。その先生は「ちょっと難しいねぇ」なんて言いながらも、鍼を打ってくれた。座ったときの姿勢が悪いからと、立った姿勢からの前屈をやらされたが、「おかしいねぇ、背骨は曲がっていないねぇ」といぶかしがる先生。それでも1時間近く左肩から左手の甲まで満遍なく打ってくれた。
患者の体を触ることで治療する先生というのは、全く別の場所を触っていても「大腸の辺りがちょっと変だ」なんて指摘をしてくれる。これはエッセイストジャズピアニスト、山下洋輔さんの著書の中でも書かれていたことなので、特に驚きはしなかった。で、それに対する私の返答が「ずっと昔から腹が弱いんですよ」。
かなり以前の話になるが、そのとき勤めていたシゴト場への通り道に鍼灸院があって、そこの門を叩いたこともある。そのときは背中の左半分に痺れがあったのだが、数度通ううちに、錆ついた身体に浸透潤滑剤を吹いたかのように、体の動きが滑らかになった。
が、今回お世話になった所は、保険は利かず、全て実費。〆て5,250円。そんな額じゃ、早々何度も通える訳もない。が、今回は明日のための投資ということで、思い切って奮発した。
で、ワードの試験の当日。鍼の良い効果が表れてくれることを信じ、午前中はパワーポイントの検定のために教室に入れず、別室で待機ということになった。そこにもパソコンがあったから、試しにどんなもんかと打ってみた。しかし、調子がよかったのも3行を打ち終わるまで。その後、左手は脳の指令を拒み、それでも震える手指で打とうとしても、考えたのとは違うキーを叩いてしまうというザマ。
思考の早さでタイピングできる、つもりだったのに、左手に絡みついた見えない鎖はことごとく左手の自由を奪っていき、最終的には左手の親指と人差し指だけで、左端から3列のキーを叩かせるようにしたのだが、・・・、本番のその時まで左手を温存しておいた方が良かったのかもしれない。
そして結果がこれの前のエントリーだもん。この怒りを、悲しみをどこにぶつければいいんだ。一人になったら、あまりの情けなさに涙が出てくるんだ。
誰かに話したいけど、その相手もいない。
あ、なりきり工藤ちゃんの所長に話そうと、工藤珈琲事務所に行けば、カウンターの向こうにはきれいな女性がいて、店を切り盛りしていた。所長は、と尋ねると「夜7時から出勤なんですよ~。それまでは私がここを任されているんです」だって。首から下がった名札には、「ナンシー」なんて書かれていたような。
その女性相手に、左手の異常のこと、それで実力が発揮できなかったこと、その他、原田芳雄さんやジョー山中さんの話をして、それで幾分でも気持ちの重しが軽くなったような気がする。
でも、アジトに帰れば一人ぼっち。やっぱり悔しさと悲しさで涙が出てきて何もできないんだ。まだ、エクセルの検定試験もあるのにな。
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