先週の金曜日のことになる。役所での用事を済ませた帰り道の途中のトヨタディーラーで、試乗車として86が置いてあるのを見つけた。
どんなもんかとそのディーラーに車を乗り入れ、その試乗車の中を覗いてみれば、おお、MTじゃないか。
私はあまりディーラー冷やかしで車を試乗する、なんてことはあまり好きではないんだな。というのも、営業マンのセールストークがどうにもウザいから。それに、ほぼすべての試乗車がATであるから、ハンドルを握っても左手、左足が暇を持て余してしまう。
まぁ、どんなクルマでも走らせたら「嬉し 楽し 大好き」と感じる私であるから、ハンドルを握ったら欲しくなってしまうってのもあるな。
で、その86だけど、まぁ、良くも悪くも現代のクルマだなぁ、と。
もうちょっとハンドルやアクセル、ブレーキからのインフォメーションが欲しかった。もうちょっと遮音性能が低かった方が良かった。
試乗車が最上級グレードの GT-Limited だったので、オプションはフル装備だったようにも感じる。バックランプとリアフォグランプの造形は結構気に入っているんだけど、そのリアフォグのスイッチがどこにあるのかが分からなかった。横に乗った営業さんに教えてもらって、ようやく発見するに至んだけど、ディマースイッチと上手い事組み合わされているのには驚いた。
試乗コースが近場の学校の通学路とカブり、時間も学校の下校時間を回っていたので、あまり派手なことはできなかったけど、2速でアクセルをそれなりに踏んでみたら、うん、確かにエンジン音の存在感は増した。けど、やっぱりもうちょっとうるさくてもいい、なんて思ってしまうのは、私がオンボロ軽自動車乗りだから、なんだろうか。
乗り心地は、デカくてぺったんこなタイヤを履いている割には悪くなかった。癖がない、とでも言った方がしっくり来るのかもしれない。ただ、そのことに関しては営業さんがぼやいていた。曰く「スバルファンからは嫌味を言われるし」、曰く「スバルさんの方は足の完成度は高いけど、ウチのは少し柔らかめに振っている。だからその分、自分好みに仕上げることができると思います」。
ちょっと警戒もしていたクラッチとシフト関係に関しては、昔乗っていた 4A-GEU エンジン+FRのカリーナから、K6A エンジン+フルタイム四駆のアルトに乗り換えた時ほどの違和感もなく、楽~にクラッチミートできた。が、これももうちょっと重たくても良かったんじゃないか、とも思うな。またシフトレバーは、ホントに手首だけでシフトできそうなくらいに短く、そしてショートストロークだった。そして、街の中では何速までシフトアップできるかを試してみたら、加速しない状態で4速まではイケた。それで大体アイドリング回転よりもちょっと回っているかな、なレベル。6速まで入れたかったけど、さすがにそれは無理だった。横の営業さんは「6速は高速道路か、羊ケ丘通りくらいじゃないと使えない」なんてことも言っていたな。
あとは、メーターの視認性だけど、タコメーターが真ん中に据えられていて、その左にちょっと見づらい感じで 260㎞/h スケールのメーターがあるんだけど・・・、初めて乗って、街の中であまりスピードを出せない状態だと、フルスケールのスピードメーターを見ることはできなかった。その代り、タコメーターの右端にビルトインされているデジタルスピードメーターで速度を確認することができた。けどこれって、GT 以上じゃないと付いていない装備じゃん。まぁ、実際に買って乗っていたら、そんな見づらいスピードメーターにも慣れるのかもしれないけど。
気になる値段は、GT-Limited の6速MTで300万越え、一番安い RC で 200万切り。けど、エアコン無しで、タクシーのようなド鉄ホイールってのは、これで何をしろと言うんだろう? 今の世の中でエアコン無しのクルマを選ぶってのは、相当な覚悟が必要になってくると思うんだけど。まぁ、北海道だったら2ヶ月から3ヶ月耐えれば何とかなるけど、エアコンって冷房だけじゃないんだよね。窓の内側が曇った時にその曇りを取り除く除湿効果もある。蒸し暑い夏場に雨が降った時は、旧車みたく雑巾で窓の内側を拭くかい? 一度エアコンという「快適」を知ってしまったら、なかなかエアコン無しには踏み込めないと思うんだけどな。
過去にはダイハツのストーリアのX4なる、ラリー、ダートトライアル御用達のベース車が、基本はエアコン無しだけど、オプションでエアコンも付ける事ができたと記憶している。ただ、あまり冷えなかった、なんて話も聞くけど。
ストーリアのX4はターゲット層が決まっていて、モータースポーツの参加者か、少数の物好き、なんて感じだったと思うんだけど、86の RC を選ぶ人ってどんな人なんだろ?
でもって、営業さんはこの86のターゲット層を30代後半から40代くらい、なんてことを言っていたけど、そのターゲット層に私も含まれるんだけど・・・、あんまり食指は伸びないなぁ。だって、ハイオク指定だし、タイヤだってでっかいし、ランニングコストを考えると、どうもね・・・。貰ったカタログにはトヨタ 2000GT、ヨタハチ、AE86 スプリンター・トレノが並んでいる写真があるんだけど、2000GT は当時の最高の技術の粋を集めた、採算度外視、作って売れば売るほど赤字になるクルマだから、別格だわな。ヨタハチは、当時のパブリカのパーツを最大限に流用して、比較的安価に作られたスポーツカーだね。だけど、一般人にクルマはまだまだ雲の上の存在だった(筈)。
スプリンター・トレノはヨタハチと同様、カローラ、スプリンターのパーツを最大限に流用して、懐具合があまり暖かくない若いもんでも、ちょっと無理をしたら手に入れることができるクルマだった。ガソリンだって燃料はレギュラーガソリンでイイし、そのエンジンだってベースは 3À-U なる実用エンジンをちょっとでかくして、アタマを 4VALVE DOHC 化したもので、そういうこともあって比較的安価に仕上げることができたクルマだと思っている。
けど、86は上に挙げた3台と共通するものが無いように思うんだよなぁ。
試乗を終えて帰るときに、営業さんが「いつ頃を予定してますか?」なんて聞いてきたけど「財布の中身と十分に相談してみます」と言って逃げてきた。でも、もし買うんだったら、スバルの方も試してみたいんだよなぁ。あ、今度スバルディーラー行ってカタログ貰ってくるか。
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