【Digital】細野さん、復活!【Archives】昭和61(1986)年1月29日水曜日 FM北海道 22:00~ サントリー サウンド・マーケット、フレンズ・オブ・アース・イン・ニューヨーク(3)アフリカ・バンバータ編
アフリカ・バンバータを知ったのは、さて、いつのことだったろう。多分、NHK-FM のクロスオーバー・イレブンで聞くともなしに聞いた「プラネット・ロック」に衝撃を受けたのが最初だと思う。なんで日本語で数を数えているんだ? と疑問を持ち、後にクラフトワークの「ヨーロッパ特急」の印象的なリフレインが使われていることを知り、またショックを受けた、そんなような記憶がある。
また、例によって例のごとくでFM情報誌に彼のインタビュー記事が載っていたことがあったのだが、写真の下のキャプションに「なかなか難しいことを言う」なんてことが書かれていた。記事には年齢が問われた彼の答えが「話したくないな。年齢を知ることで余計な印象を与えてしまう」的なことが書かれていたような・・・。
これで、彼が大変知的で、現場主義、なんて印象を持ったものだった。
その甲斐あってか、レンタルレコードでアフリカ・バンバータ・アンド・ソウル・ソニック・フォースのレコードを借り、カセットに録音して悦に入ったものだった。
その彼と、細野さんが会ってどんな話をするのかが楽しみだった。
こんばんは、西田珠美です。
サントリー サウンド・マーケット、細野晴臣さんのニューヨーク紀行、フレンズ・オブ・アース・イン・ニューヨーク。今夜はその3日目。スタジオには今夜も細野さんにお出でいただいています。こんばんは。こんばんは。
よろしくお願いします。
よろしく。
今夜は昨夜のビル・ラズウェルに続いて、アフリカ・バンバータとお会いになったときのお話なんですけれども、どこでお会いになったんですか?
えーと、バンバータとは、彼のレコード出してる「トミーボーイ・レーベル」という、小さなレコード会社です。非常に入口が汚くて、「大丈夫かな?」と思って入って行ったら、すごいきれいなところだった。
見た目と随分違うような感じ。
ええ、違います。
あのー、ちょっと彼は怖そうな感じもするんですが、どんな・・・。
それがね、ぼくも最初会うとき、ちょっと怖かったんですけど、あのー、ニューヨークで2回目だったんです。東京で1回会って、その時はちょっと怯えていたんですけど、全然これがまた違う人で、非常に女性的で、優しいお母さんみたいな(笑)タイプの人なの。
あー、それじゃ、ちょっとビックリしましたね。
ビックリしましたよ。うん、非常に優しい人でした。
今回は大変意気投合したということで・・・。
ええ、非常に音楽的に面白い話がいっぱいできたんですね。
はい、今夜も是非楽しみにしながらお届けしていきたいと思います。今夜はフレンズ・オブ・アース・イン・ニューヨーク、アフリカ・バンバータ編です。
ここは、さっきレストランからすぐ、「トミーボーイ」の中に来ました。奇跡的に30分だけ遅れて、バンバータが来たと。私達はラッキーだそうです。相変わらず彼はおとなしくて、ジェントルマンで、東京で会った感じと全然同じなんで、安心しました。さて、元気ですか? How do you doing?
OK. Hey you?
OK(笑)。ところであれから随分、日本で会って2ヵ月位かな? 今になって思うと、日本の印象はどうですか、2ヵ月経って。
なんか、とにかくすごい気に入っちゃって、とにかく「帰りたくて」しようがない。バンドのメンバーの奴らも毎日ぼくのケツひっ叩いて「何時日本に戻るんだ?」ってことで、日本に戻ったらYMOとレコード作るんだって盛り上がっているらしいですよ。
(笑)もうYMOは無いんですけどね(笑)。
もう、誰でも良いんだって、メンバーだったら。
いつでも「帰ってきて」ください(笑)。
昨日、ビルと会ってニューヨークのシーンのことを聞いたんですけど、その辺をちょっとバンバータにも聞いてみようと思うんですけど。じゃ、どうやって聞こうかな? ニューヨークは今面白いですか、という風に。ヒップホップは死んでなんかいない、と。ヒップホップは今すごい若いヤツの間でまたすごい盛り上がっていて、俺らはマディソン・スクエア・ガーデンでやっていないだけの話で、レコード業界のヤツらから見たら「ヒップホップは死んだ」なんて言って、それを信じたいと思っているのかもしれないけれども、実はヒップホップはちっちゃいクラブとか若者の集まるクラブの中で、もうすごく盛り上がっている。
ほうほう、これは違う立場からの発言があって・・・
ブレイク・ダンスとエレクトリック・ブギみたいのは、もう死んじゃっている。
そうだね。
だから、ラップ・ミュージックみたいなのってのは、物凄くまだ生き生きとしていて・・・
そういう発言、ぼくはすごく好きですね。
前半終り。
続いて後半。
サントリー サウンド・マーケット、細野晴臣さんのフレンズ・オブ・アース・イン・ニューヨーク、今夜は第3夜、アフリカ・バンバータ編をお送りしています。
今、世界中を見てて、特別今ニューヨークで新しいことが起こっているとはやっぱり、どうしても思えないし、例えばロンドンでさえ、そういう新しいことって感じられないし、東京でさえ、もちろんそうなんですけど、その中で非常に少数の動きってのは、潜りつつ、こう潜航して、次のチャンスを窺っているという感じがする訳ですよ。だから、やっぱり新しい音楽、まぁヒップホップをベースにしても、新しい音楽をやってほしいと思うんですよね。そういう新しいアイディアって、考えているのかどうか・・・。これからエレクトロ・ファンクをやる。
いいねぇ。
非常に強いビート・ミュージックをやる。
いいねぇ。
既に2枚レコードを作ったんだけど、そのレコードはちょっとこういうトミーボーイみたいな体制の所には強すぎるんじゃないか。全然バックアップしてくれないんだって。すっごくやりたいアイディアがいっぱいあって、頭の中ワンワンしてるんだけれども、レコードの出る時期が遅かったり、タイミングが悪かったり、あるいは非常にその、出ても全然バックアップしてくれなかったりっていう問題があって、
共通のテーマですね、それは。うっふふふふふ。
そうか、それ聞きたいなぁ。ぼくもまだ聞いていないんだけど。
あの、ビル・ラズウェルの活動ってのは基本的には、他の要素のものを上手くブレンドしていく、というやりかたですね。だから、カリプソでやってもアフリカン・ミュージックであっても、ロックであってもジャズであっても、そういうものが必要だと思ったときにはそういうミュージシャンを連れてきてしまう。別にその、自分で何かをやるよりも、むしろ他の人を使って何かを経営するってのがすごく上手なんじゃないか。だけども、ロックイットで非常に彼はフェイマスになったんで、どうしても人々は彼とロックイットを結び付けて、彼のやることは全部ロックイットのようなサウンドになるんじゃないか、ということを期待しているってこともあるんだけど、ちょっとそれとは違って、むしろ彼のやっていることっていうのは、色んな意味で色んなものをくっ付けるという・・・。プロデューサーにしろ何にしろ、非常に音楽的なことだと思うんだよ、それは。YMOとかぼく達が、ヒップホップが好きだって感じがね、やっぱり、エレクトリックなビート、ファンク・ビートみたいな、そういうものの強さってのが、非常に・・・、なんて言うんだろうな、もうこれは嫌いになれないって感じがする訳。これはもう、ずっと好きだと。だから、そこら辺でそれをこう、簡単に捨てちゃうのは惜しいような気がする。だから、プロデュースっていうことよりも、自分達で何か今作りたいって気持ちがぼくは強いんだよね。だから、その辺でぼくは応援したいと思いますね、バンバータを。
サントリー サウンド・マーケット、フレンズ・オブ・アース・イン・ニューヨーク、今夜はその第3回目、アフリカ・バンバータ編をお送りしました。細野さん、どうもありがとうございました。どうもありがとう。
えー、アフリカ・バンバータなんですけれども、ちょっと元気付けられて・・・。
ええ、ニューヨーク行ってすぐちょっと落ち込んじゃって、その、ビル・ラズウェルが非常に否定的な考えの持ち主で、その次にバンバータは、それに対抗しているというか、行き詰っているけど打開したい、そういう気持ちが伝わってきて、非常に気持ち良かったです。
明日もまた楽しいお話が聞けると思いますので、よろしくお願いいたします。
はい、よろしく。
今夜お送りしました曲は、アフリカ・バンバータでフランティック・シチュエーション、サンシティ、ジョン・ライドンとアフリカ・バンバータでワールド・ディストラクション、アフリカ・バンバータでウィ・ワナ・ロック・イン・アメリカ、FOEでダンス・ホール、以上でした。明日の夜は第4夜、ドクター・ジョンにスポットを当ててお送りいたします。ご案内は西田珠美、この番組は、サントリーがお送りいたしました。
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